細見 博子 - hiroko hosomi

生命の系譜

自然界に生きるものは、この世界に生を受けてから成長するまでの過程で
個々様々な変化を遂げてゆく。その自然との繋がりを起点に、
私が思いついたもの(私の内で誘発されたもの)を表現できたらと思う。
このモチーフは、創作を始めた最初の頃からのもの。
ただ単に具象を表現するのではなく、
自分なりの世界観で生命の系譜を表現していきたい。
「輪廻のカタチ」もまた大きなテーマとして、私のなかにいつもある。
 


日常の中の発見

ひらめきの瞬間は生活の中にあり、日常の中にある。
インスピレーションは、多くは自然界から。
時に、人が発した言葉や読んだ本の文章に発想のキーワードが隠され潜んでいることもある。
毎日の生活の中でふと目についたものや偶然出合ったものを、
頭の中でひとつひとつ繋げていったり変化させたり。
時にはありえない姿を妄想したりして、造形に繋げていく。
この、発想力こそが最も重要であり、造形の鍵となる。
 


抽象の中の具象

造形する形は、全体としては抽象的。
が、それらの中で、強調、主張したい部分は変形や誇張を加え、具象的になる。
たとえば、美しい部分。
素材をガラスに置き換えたり、不釣り合いに大きくしたり。
このバランス、金属とガラスの総体の造形バランスを計ることに全神経を注ぐ。
 


モノガタリ

テーマやキーワードから誘発され具体化された「生き物」(作品)に
物語という流れを植え付ける。
観客はそこに、作家の意図する通りのモノガタリを感じ取るものもいれば、
独自の感覚や世界観で確認し、楽しむこともある。
それはそれで自分にとっては、嬉しいことです。
 


制作過程

作品を制作する最初の工程、始まりは「溶かす」という作業から。
錫合金を溶かし、作りやすい大きさにしていく。
ガラスを溶かし、自分の思うカタチにしていく。
この両者が一度固まったもの同士を、また溶かし合体させる。
硬質な素材を溶かすという行為とその様は、非日常のもの。
溶けていく様を眺めていると、神経が刺激され、同時に
つくりたいカタチを現実にできるという私の欲求は満たされてゆく。
迷走、失敗の日々を抜け辿り着いた、私にとって最高の表現方法です。
 


Material

硬い金属のはずなのに、優しい感じや柔らかな感じが漂う。
それが私が扱っている金属が有する特徴。
錫70%~80%、鉛10%、そのほか銅、アンチモン(antimony.)
・・・比較的低温で溶ける錫合金。
そして、ガラス。
この煤合金とガラスを組み合わせにより、
「粘土細工のように手でこねて作っているんですか?」とよく尋ねられるような、
柔らかくて自由度の高いフォルムを具現化していく。
ガスバーナーと半田ごてで、さまざまなパーツからオブジェ全体まで
ひとつひとつ一点一点すべてが手作業なのです。